地盤が建物の重さに耐えられず不均等に沈み、一方向に斜めに傾くような状態のことを「不同沈下」といいます。
不同沈下の原因には、地盤が軟弱であることや荷重が偏っている建物が立っていることが挙げられます。
軟弱な地盤には、自然に形成されたところと人工的に造成されたところがあります。傾斜地では、傾斜したままの状態では建築することができないので、高い方を削り、低い方を盛って敷地を平らに造成します。切土した方は硬い地盤が露出し、盛土した方は柔らかい土で覆われるため、地盤のバランスが悪く不同沈下につながる可能性があります。
また、近隣で地下水の汲み上げや地盤の掘削工事が行われている場合も影響を受ける可能性があります。
不同沈下が起こると、建物の基礎が水平を保てなくなるため、家が斜めに傾いてしまいます。家が傾くと部分的に荷重が加わることになり、構造部分にゆがみが発生し、壁や床にまでゆがみが広がってき、少しずつ建物に影響が出てきます。
生活していて特に支障がなくても、ビー玉が転がったりするようなことがあれば、不同沈下が起きている可能性があります。さらに進行していくと、床が水平でなくなって家が傾き始めます。土間コンクリートや壁に亀裂が入ったり、ドアや窓の開け閉めがしづらくなったり、扉がきちんと閉まらなくなったり、柱が傾いたりすることもあります。最終的には、強風や地震で建物が倒壊するほど危険な状態になります。
家の傾きは、深刻な健康障害を引き起こすことがあります。傾いた家で生活を続けていると三半規管に悪影響を与え、めまいや頭痛、吐き気などの症状が出てくることがあります。
また、自律神経のバランスがくずれ、精神的にストレスが溜まり、不眠や食欲不振などの体調不良につながることもあります。
不同沈下を防ぐためには、家を建てる前に地盤調査をしておくことが大切です。地盤調査では、その土地の耐久性を調べることができ、不同沈下が起きる可能性を前もって知ることができます。
もし地盤が軟弱だった場合は地盤改良を行い、建物をしっかりと支えられるような基礎の仕様を選択する必要があります。建築基準法でも、地盤調査の結果を見て、地盤の状態や強度に応じて設計をすることが求められており、建物を建てる前に地盤調査を行うことは一般的になっています。